できる人の「営業力」72の奥義 | ||
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出版社 | 小学館 | |
著者 | 井崎 勝司 | |
価格 | 定価777円(本体740円) | |
お客様を動かすのは力でも技術でもなく 営業マンの『心』 ―――――― 心が温かくなる話、ホロっと涙が出る話、ためになる話など、 72話が収録されています。 なぜ、イタリアの飛行機は落ちないのか御存知ですか?? その答えは、イタリア人の「称賛の文化」にあります。 どんなことでも誉め合い、お互いを高め合う文化が イタリア人には根付いているのです。 27年間の営業活動の中で体験し習得したすべてが詰まっています。1話読むごとになんだか幸せになれる1冊です。 |
第三十九話 イタリアの飛行機は何故落ちないのか?・・・・・・・・・・・褒められると人は育つ |
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ヨーロッパを旅行し、様々な国の飛行機に乗るといろいろな発見があります。特にイタリアのアリタリア航空に乗って面白いのが「着陸時の拍手」です。 秋から冬にかけてのミラノは霧が多く、着陸時のパイロット泣かせの天候が続きます。そんな中、機体をグラグラ揺らしながら着陸体勢に入ります。乗客乗員とも「大丈夫かな?」と何%かの死の恐怖が頭をよぎります。そうした状況でイタリア人パイロットが細心の注意を払い、着陸時の衝撃も最小限に「ふわっ」と車輪を滑走路に着地させます。 「ブラボー!!」 無事着陸した喜びが歓声と拍手となって機内に充満します。 「イタリアの飛行機は落ちない」 ヨーロッパでは昔からいわれている言葉です。イタリア人パイロットの技術が高いという評価です。 イタリアでは、個人の冴えた技術に惜しみない拍手が贈られます。大企業の組織力を活用した生産性ではドイツやイギリスには及びませんが、個々のセンスを生かしたファッション、料理、デザイン、建築、もの作りにおいては、群を抜いた結果を出しています。パイロットの操縦技術もそのひとつなのでしょう。 なぜ、このようなユニークな国民性が生まれたのか? イタリア駐在をしていた時にいつも疑問に思って見ていました。その答えが、ある時わかった気がしました。 イタリアの投資顧問会社で勉強させてもらっていた時のことです。イタリア人はおしゃべりなので、仕事中もよくイタリア語が飛び交っていますが、特に頻繁に出てくる単語が「ブラボー」と「ブラバー」です。 ブラボーは男性に向かって、ブラバーは女性に向かって言うほめ言葉です。日本語に直せば「よくやった!」とか「いいねえ!」といったところでしょうか。仕事中、頻繁にいい合っています。 資料を作ったら「ブラボー!」 それを説明したら「ブラボー!」 コピーしたら「ブラボー!」 それをファイルしても「ブラボー!」 要するに、すべてのことに対して、「ブラボー!」と誉めてくれるのです。これが、朝から晩まで働いている間ずっと続きます。気分が悪かろうはずありません。だからイタリアの企業で感じることは、まず、みんな「仲がいい」こと。そして「楽しく働いている」こと。最後に、誉められたいと「努力している」こと。 「もっと、誉めてもらいたい!」 この一心で、イタリア人パイロットは着陸技術を磨き、シェフは料理の腕を上げます。デザイナーが抜群のセンスを発揮するのも、同じ動機でしょう。私はこの職場を見て、我々日本人が忘れていることを思い出させられたような気がしました。 私たちの営業現場はどうでしょう? 誉め合っていますか? みんな仲良くしていますか? みんな楽しそうに仕事をしていますか? 生保の営業第一線の支部を回ると、非常に入りにくい雰囲気を感じることがあります。しかめっ面をした営業員がずらりと座っています。誰かが入ってくると「ギョロッ」とにらみ、何しにきた?という無言のメッセージを送ってきます。 同じ会社の人間でもそう感じさせるのですから、ましてや採用候補の新人さんやお客様はどう感じるでしょう? こういう営業拠点は人が減り、お客様が減っていきます。 逆に、笑顔の絶えない支部もあります。誰かが入ってくると、みんなで声かけします。支部全体が「歓迎ムード」を醸し出します。このような支部は新人採用もできるし、お客様も増えていきます。 どこに違いがあるのでしょうか? 私が見たところ、やはりイタリア人のようにうまく誉め合っている支部は明るくなっていきます。何かにつけ「いいところ」を見つけ合おうとしているのです。そうすると営業員同士が仲良くなっていきます。 気分がいいのでまた、誉め合って笑顔も絶えることがなくなります。こうした好循環が生まれてくるのです。 さあ、今日からでも遅くはありません。お互いに誉め合って明るく、そして成果が出る組織を作っていこうではありませんか。 「イタリアの飛行機はなぜ落ちないのか」 その答えは、イタリア人の「称賛の文化」にあったのです。 |
目次《一部抜粋》 |
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■第一部 お客様の心、営業マンの心(営業スタッフ編)
■第二部 部下の心、上司の心(営業マネジャー編)
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